【小説】旅人の木

旅人の木 (集英社文庫)

“旅人の木”―分厚い葉の基部に水を貯え、熱帯では渇いた旅人が喉を潤すという。
僕は九つ違いで音信不通の兄を訪ねて、この街にやって来た。
複数の女友達、アルバイト先の同僚…かつての憧れの的は、思いもかけぬ顔で僕を混乱させる。
僕の渇きをいやす“旅人の木”はどこに。
詩的なタッチで都会の漂流を描く青春小説。

色々あって本を読みたいなぁと思って図書館へ。
手始めに『人生を変える大人の読書術』という本を読みました。
久々に本を読んだからか寝不足だからか眠くなっちゃったりしたけれども、
なるほどそういう考え方があるのかとか、作者の政治思想が垣間見えるなとか思いつつとりあえず読んだ。

その後ブックオフへ移動し、108円の文庫本コーナーで5分ほど本を物色。
辻仁成の『旅人の木』を買いました。
この本のことも作者のことも全然知らない。

両親を亡くした“僕”が、唯一の家族である音信不通の兄を探して東京へ。
有力な手がかりも無く、生きてるのか死んでるのかすら分からない兄。
憧れだった兄の「観察者」である自分はどうすればいいのか、どうなってしまうのか…

とまぁこんな感じでしょうか。
作品のレビューや批評なんて出来るほど能力が高いわけではないので、夏休みですし読書感想文ということで。

なんだろう、とりあえず読み終わった時に「これで終わり!?」となってしまった。
兄が今どうしているのか、生きているのか死んでいるのか、それが分かるのか分からないのか、中盤は結構ドキドキ。
ちょっとずつ近づきつつ、でも見えてこないモヤモヤ感。

兄はおかしな人間だなぁと思いつつも、読み進めるとこの弟も結構アレな感じじゃないのかとも思ったり。
人生の中で人間は何を追い求めるのか、みたいな話だったのかなぁ。
推理小説じゃないけど、きっちり解決して「そういうことか!!」ってなるのが好きなので、あそこで終わるのは個人的にはモヤモヤが残ったまま。
なぜ採りに行ったのか、なぜ飛び降りたのか、なぜ殴ったのか、今日読んだ限りではその辺りが謎なまま。
説明しなくても読み取れよ!!っていうのもあるかもしれんし、逆に
読者に想像の余地を残してくれてるんだよ!!っていうのもあるかもしれんし。
自分は、モヤモヤでした。

しかし本を読むのは楽しいね。
小中学生の頃とかに「本を読め!」って言われたことがある人は多いと思うけど、たぶん人から強制されたことって楽しくなくなると思う。
「勉強しなさい」とか「毎日1時間歩きなさい」とか。
そうじゃなくて、自分で「こうしよう」って考えてやるのは、楽しいと思う。

小中学生の保護者から「うちの子家で全然勉強しなくて…」って言われること多いけど、親が家で本読んだり勉強(もしくはそれに近いこと)をしてないと子供がやるわけないんだよなぁ。
というのをふと思ったりしました。まぁいいや。

日本国内だけで1年間に出版される本が7万種類以上あるっていうんだから、世にある本を全て読むには人生の時間は短過ぎる。
自分にとって面白い本、衝撃を与えてくれる本は沢山あるはずだけど、それに出会えないまま死ぬのはもったいない。
時間が無限にあるならいいけど、有限だからこそ本を読もう、と最近思うようになりました。

「忙しくて時間が無いから本は読めない」じゃなくて「時間が無いから本を読む」!!
っていう名言を今思いついたので使いたい人は使っていいです。

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